戸建てを猫向けリフォームするときの選び方、気をつけたいことのメインイメージ

「猫のために本格的なキャットウォークを作りたいけどマンションでは無理。だから戸建てを購入したい」とお考えのみなさん。確かに戸建てはマンションよりリフォームの自由度が高い物件です。しかし構造や建材によっては、自由にできないこともあるのだとか。

一級建築士で猫シッターのいしまるあきこさんに、猫向けリフォームの視点で戸建ての選び方とリフォーム時に気を付けることを教えていただきました。

戸建てで猫リフォームするなら、構造は「木造」がおすすめ

中古戸建てを購入して猫向けのリフォームをしようと考える方に基本の選び方からアドバイスします。猫向けリフォームをするなら、いくつかある「構造」の中でも「木造」の家がおすすめです。

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木造の家の壁は表面に見えている壁紙などの「仕上げ」の下に、石膏ボードや構造用合板などといった板材があり、その内側に建物の構造体があります。この壁の中の構造体は基本的に柱や間柱(まばしら)といった木材でできています。その木材に金物などを留めることで、DIYでもリフォーム工事でも、キャットステップやキャットウォークの設置が比較的簡単にできます。

「鉄骨造」の家の多くは、木材ではなく軽量鉄骨と呼ばれる薄い鉄でできた材料で壁が支えられています。戸建ての「鉄筋コンクリート造(RC造)」では、壁の中は鉄筋コンクリートの構造体がすぐあったり、金物などを留められる材料がなかったりするため、DIYでは難しいことが多くあります。リフォーム業者にお願いする場合も、壁の下地づくりを行うか、いまある壁の前にもう1枚の壁をあらたに設ける必要があるため、木造よりも大がかりな工事になりがちです。

また、壁に猫が通り抜けできる穴を設けたいと考えたとき、やはり「木造」の家がやりやすいです。柱や間柱は間隔を開けて立てられているので、その隙間であれば猫が通り抜ける程度の大きさの穴は開けられます。ただし、柱や間柱に構造用合板や特殊な板を打ち付けて、壁全体で構造体にしている場合は、穴を開けると構造的に欠陥が生じやすいので注意が必要です。壁の下地が石膏ボードの場合は、穴を開けても問題にならないことがほとんどです。

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東京都Tビル。壁の下地が木製の間仕切り壁には、猫さん用の穴を開けることが可能です。設計:ねこのいえ設計室(主宰いしまるあきこ)

「鉄骨造」も柱や間柱などが立っているため、木造と同様の対応は可能です。「鉄筋コンクリート造」の場合は、構造体の鉄筋コンクリートの壁があると、穴を開けることは基本的にできません。

「木造」の戸建てには、木の梁(はり)があり、猫のキャットウォークとして使える場合があります。梁は1階から2階にかけての吹き抜けにあるものや、天井の中に隠れているものがあり、隠れている梁は表に出して活用します。その方法は、2階の床と1階の天井を取り除いて吹き抜けにした上で梁を露出させる、2階の天井を外して隠れていた梁を表に出す、などです。床を壊すより天井を外すほうが簡単ですから、梁を表に出したいなら天井裏を活かすことから考えるとよいでしょう。

ただし、「木造」の中でも「枠組壁工法」や「2x4(ツーバイフォー)」と呼ばれる構造は、猫がうまく使える太めの梁が無いため注意が必要です。「鉄骨造」や「鉄筋コンクリート造」は、梁と床が一体になっていて、使えないことがほとんどです。

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戸建てにキャットウォーク、ステップを設けるときの注意点

猫と人の安全面、猫毛や吐物を掃除するなどの衛生面などから、戸建てでキャットウォーク・ステップを設けるときに、特に注意していただきたい点を挙げます。

◎猫も落下する

梁をキャットウォークとして使う場合に注意が必要なのは、猫は思っている以上に高いところからすべり落ちることです。対策として、歩かせる予定の梁を滑りにくくして、落ちた時でも大けがをしないように、床を耐衝撃吸収フローリングやコルク・畳といった耐衝撃性に優れた床材に変更しておきましょう。硬いタイルやモルタルなどは危険ですので避けます。

また、キャットウォークやステップを階段上部の吹き抜けに設ける例をよくみかけますが、落下した際の着地点が階段側になると猫がケガをしやすいので注意が必要です。そのような場所への設置はできるだけ避けてください。

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キャットウォークやステップを設置したくなる階段吹き抜けですが…

同様に、ダイニングテーブルの真上やキッチン、寝室といった場所にキャットウォークやステップを設けるのは避けましょう。猫の落下だけでなく、上から嘔吐物や猫毛が落ちてきて困ったことになります。

戸建てではキャットウォーク以外の場所「階段の吹き抜け」でも落下事故が起きます。階段を上ったところによくある腰壁を兼ねた手すりは、猫にとってちょうど良い高さで上部に乗ってしまいます。そこを歩いていてすべり落ちたり、眠っているうちにずり落ちたりします。手すりに乗らないよう吹き抜けに面して壁や格子でふさいで対策しましょう。

DIYで手すり上部だけで突っ張り棒を使って落下防止柵を作る例をよく見かけますが、力が加わると突っ張り棒や網がすっぽ抜けて猫と一緒に転落しますし、落下物に人間が当たる可能性もあります。落下防止柵を腰壁や手すりにネジなどで頑丈に固定したり、床から天井にかけて突っ張り棒を設けて落ちにくいようにして安全を確保してください。

◎猫に手が届く位置、高さにする

猫は体調を崩すと高いところでうずくまったりします。そのためキャットウォークやステップは、猫が高い所から下りてこなくなったとき、捕まえて安全におろすことができる造りにしましょう。椅子などに乗って猫に手が届く程度の高さが現実的です。

猫しかいけない場所は決して作らず、一番高いところでもハシゴを使うなどして必ず人間の手が届く範囲にしましょう。掃除もしやすくなります。

また、戸建てでは吹き抜けを目一杯使ってキャットウォークやステップの高さをとろうとしがちですが、猫が高所をこわがって使いたがらないこともよくあります。人間の頭をこえる程度の高さでも、猫が満足することは多いです。高くしすぎないよう注意しましょう。

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キャットウォークやステップは高くなり過ぎないように

また、12歳以上の中高齢猫や老猫、好奇心旺盛で判断能力がまだあまりない1歳に満たない子猫に高所は大変危険です。人間の背丈を大きく超えるキャットウォークやステップの導入は控えましょう。

◎やりすぎない

家中にキャットウォーク・ステップを張り巡らそうとする方がいますが、おすすめしません。人間との関係性が良好ではない猫は高所に行きっぱなしになりますし、人間との関係性が良好な場合は上に行く必要がなくて上部が使われないことがよくあります。

また、猫が複数頭いる場合で仲が悪い猫同士がいると、行き止まりに追い詰めて下に落としたり、すれ違いざまにけんかが起きたりします。キャットウォークは行き止まりを作らず、30センチ程度の奥行きを取って猫同士がすれ違えるようにして、上り下りできる複数の経路を設けてください。

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◎ダイエットにはなりません

猫は運動能力が高い動物ですが、自らのダイエットのために運動することはありません。単にキャットウォークやステップを用意しただけで猫の運動能力を引き出せると思うのは間違いです。ダイエット効果より、猫にとっての気分転換のためと思って導入しましょう。

キャットウォークやステップは猫が使いたくなる理由を作ってあげることで、活用されていきます。家の中でリビングや書斎などの人間がよく過ごす場所の上部、行き着く先に窓があるような位置、複数頭いる場合は、ロフトに少し籠れるような寝床としてキャットウォークとステップを用意すると、楽しく使ってもらえることが多いです。たとえ距離が短くても喜んでくれるでしょう。

また、戸建ての階段も猫にとってはキャットステップと同じ役割です。各階に猫の居場所やトイレを複数用意してあげると、自然と階段を上り下りするので運動する機会を増やせます。

猫も人も楽になる、戸建ての猫トイレスペースのつくり方

室内だけで暮らす猫の寿命は15〜16歳と言われています。それだけの年数にわたって猫トイレを毎日使うことを考えると、猫リフォームのタイミングで猫トイレの置き場所をきちんと用意したいものです。

まず、猫がよく過ごす寝床やリビングなどの近くで、ほかの猫や人間から見えにくい場所に設けると猫は快適です。見えにくい場所といっても、時々前を通るような位置にしておくと掃除の頻度が下がらず、人間側もお手入れが楽です。猫トイレ置き場のそばに、猫砂やペットシーツを入れる収納を設けておくと便利です。鉱物系などの重い猫砂は上げ下げが大変なので収納は下部にして、それ以外の軽い猫砂は上部の収納へ。また、猫トイレは各階に置くようにして、猫が排泄を我慢することがないようにしましょう。

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築50年近い古家を猫リフォームした、いしまるあきこの住まい兼仕事場「羽田ねこのいえ」。収納下を利用した猫トイレ置き場。高さ600ミリを確保しているので、オープンタイプも上から入るタイプも置いて使うことができる。

戸建てで猫トイレを置くスペースとしておすすめなのは収納下です。床から600ミリ程度の高さを確保しておけば、一般的な猫トイレやスマート猫トイレ(=体重や尿量などを管理できる電子的な猫トイレ)など少し高さがある猫トイレを置いても、猫が使いやすいでしょう。ただし、全自動洗浄猫トイレなどは高さが800ミリ程度あるので、置き場所に注意が必要です。猫がよく過ごすリビングや寝床に行く途中の廊下などに収納がある家なら、猫トイレスペースが確保しやすいでしょう。

階段下の収納スペースを使って猫トイレ置き場を設けることもありますが、人間の階段の上り下りの音で猫が驚いてトイレを使えなくなることがあります。居住人数が多い場合や面積的に余裕がある場合は、階段下に猫トイレ置き場を設けるのは避けましょう。

猫トイレへの出入口に通り抜けの穴を設けたり、段差を設けたりすることで、猫砂の散らばりを防ぎ、ニオイの広がりが防ぎやすくなります。戸建ては外壁に面した壁に換気扇を設けやすいので、あわせて設けるとニオイが気になりにくいです。

複数頭の猫がいる場合に注意が必要なのは、仲があまりよくない猫同士の猫トイレ前での待ち伏せ行為といった嫌がらせです。排泄を我慢する猫がいないよう、出入口は1か所だけにせず複数の方向に設け、複数箇所に分散させて設置しましょう。

また、人間用のトイレに猫の排泄物を流したいご家庭ややトイレに流せる猫砂をお使いのご家庭では、人間用のトイレのすぐ近くに猫トイレの置き場を設けましょう。トイレをリフォームする際、トイレ内に猫トイレスペースを設けるとお世話がとても楽になります。

各階に水回りがあると、水飲み場が増やせる

 猫は積極的に水を飲みたがる動物ではありませんが、水をできるだけ飲んでもらうことで腎臓や泌尿器系の病気を防ぐことができます。

予防のためには、猫が「水を飲みたい」と思ったタイミングで飲めるよう、猫がよく過ごす場所や通り道に複数箇所の水飲み場を各階に設けることが重要です。水回りがない階ではついつい水の置き場所を減らしがちです。各階にキッチンや洗面台などの水栓があれば、水を入れた器などを持って階段を上り下りする必要がありません。

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築50年近い古家を猫リフォームした、いしまるあきこの住まい兼仕事場「羽田ねこのいえ」。2階の階段踊り場に後から追加したコンパクトな手洗器。水回りのない2階で、水の交換のために追加した。

戸建てに洗面台などを追加する工事では、床・壁・天井などに穴を開けて上下水の配管をする工事が発生しますが、そこまで難しいものではありません。各階に水回りを設けるリフォームは、猫の病気予防につながります。

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脱走防止対策しやすい造りの家を選ぶ

戸建てでは外で暮らす猫の刺激を受けて、猫が脱走したがることが増えます。また、家を購入したタイミングで保護猫を迎え入れたいと思っている人は、保護猫団体のほとんどが猫の脱走防止対策が不十分な家には、猫を譲渡しないルールとしているのでご注意ください。以下のような造りの家を選んでおくと、後からでも対策が取りやすいでしょう。

一番効果的なのは、窓や玄関に格子や扉などを設ける対策です。玄関に格子戸などの扉を後からつける場合は、玄関からつながる廊下の両側に壁がある家がおすすめです。

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参考画像:著書『猫と住まいの解剖図鑑』(エクスナレッジ)より。猫と暮らす戸建て戸建てで起きやすい問題をリフォームで解決する例を示したページ。ポイント3が脱走防止扉について。

逆に扉が付けにくいのは、玄関を入ると目の前に階段がある家や玄関を上がった辺りが狭い家です。また、玄関すぐに階段がある場合で階段まわりに扉を付けるとき、手すりと天井の間にスキマがあると、そこから猫が通り抜けてしまいます。あわせて確認しておきましょう。

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この記事を書いた人

ペットホームウェブ編集部 中根
ペットホームウェブ編集部 中根 さん

友人宅で生まれたキジトラの♀猫を生後2か月で養子に迎えてから早17年。猫の飼育では、避妊手術の時期の遅れから乳腺腫瘍を発症させてしまったことを海より深く反省。犬の飼育では、実家の3代目の犬が子犬だった頃に「ワッ!」と驚かせて嫌われてしまったのを後悔している。趣味は映画鑑賞ときどきライブ。

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